引き出しの中に眠っているシンプルなハンカチや、新しく買い足した無地のガーゼ。それらに少しだけ針を進めるだけで、世界に一つだけの特別なアイテムに生まれ変わります。刺繍を一から完成させて小物に仕立てるのは時間がかかりますが、既製品へのワンポイント刺繍なら隙間時間で手軽に楽しむことができます。今回は、日常使いのハンカチを自分らしく彩るためのアイデアや、きれいに仕上げるためのコツをお伝えします。
初心者でも挑戦しやすい図案と配置の選び方
ハンカチに刺繍をする際、まず迷うのが図案の大きさと配置です。初めて挑戦する方におすすめなのは、ハンカチの四隅のうちの一か所に、二センチメートル角に収まる程度の小さなモチーフを描くことです。自分の名前のイニシャルや、小さな一輪の花、あるいはシンプルなドットを並べるだけでも、布地の印象は驚くほど変わります。配置を角に寄せることで、ハンカチを折りたたんだときにも刺繍が表に見えやすく、使うたびに心が高鳴るようなアクセントになります。
図案が決まったら、糸の色選びにもこだわってみましょう。布の色と同系色の糸を選べば上品で落ち着いた印象になりますし、あえて反対色を選べばポップで元気な雰囲気になります。ハンカチは日常的に持ち歩くものですから、その日のファッションや気分に合わせた色を選べるのもハンドメイドならではの魅力です。図案を布に写すときは、水で消えるチャコペンなどを使うと、後から線が残る心配がなく安心して作業を進められます。
既製品に刺すときに気をつけたいポイント
既製品のハンカチに刺繍をする場合、仕立て済みの布を扱うからこその注意点があります。ハンカチの多くは薄手の綿やリネンで作られているため、刺繍糸を強く引きすぎると布地が引きつれてシワが寄ってしまいます。これを防ぐためには、小さめの刺繍枠を使い、布をピンと張った状態で優しく針を刺していくことが大切です。また、裏側に糸が渡りすぎると表から透けて見えてしまうことがあるため、なるべく一筆書きで刺せるような図案を選ぶか、こまめに糸を休めるのが美しく仕上げる秘訣です。
裏側の処理についても、普段以上に丁寧に行うことをおすすめします。ハンカチは頻繁に洗濯し、手や顔を拭くために使うものです。玉結びが大きすぎると肌に触れたときに気になったり、他の洗濯物に引っかかったりする可能性があります。糸の始末は布の織り目に数回くぐらせるなどして、できるだけフラットな状態を目指しましょう。手間はかかりますが、裏側まで美しく整えることで、長く愛用できる丈夫な一枚になります。
手作りハンカチを長く大切に使うためのケア
お気に入りの刺繍を施したハンカチが完成したら、できるだけ長くきれいな状態を保ちたいものです。刺繍部分は繊細ですので、洗濯機に入れる際は必ず目の細かい洗濯ネットを使用するようにしましょう。本当は手洗いが理想的ですが、日常使いするハンカチであればネットを活用するだけでも十分保護になります。干すときは刺繍部分を軽く手で叩いて形を整えてから陰干しすると、糸のふっくらとした質感が失われにくくなります。
アイロンをかけるときにも、ちょっとしたコツがあります。刺繍の上から直接高温のアイロンを押し当てると、せっかくの立体感が潰れて平面的になってしまいます。刺繍がある面を下にして、裏側から柔らかいタオルのような当て布をしてアイロンをかけると、刺繍がタオルに沈み込んで立体感を保ったままシワを伸ばすことができます。こうした日々の少しのケアが、手仕事の温もりをいつまでも保ち続け、使うほどに手に馴染む自分だけの名品を育ててくれます。

